2024.08.08
財産承継
経済的メリットだけでなく、相続する方の想いを大切に。「資産管理会社」の設立で“持続可能な資産”を遺す
顧客情報:土地持ち資産家、お住まい:首都圏、資産:約5-10億円、提供サービス:資産管理会社の設立
今回ご紹介するのは80代の土地持ち資産家の方の事例です。資産の大半が不動産で、このまま相続が起こった場合、子供に現金を遺せないだけではなく、土地を手放さないと相続税が払えない……という危機に陥っていました。一体どのようにして家族の大切な資産を守ったのか。詳しく解説していきます。

 課題 
  • 子供に多くの資産を遺したいがどうすればよいか分からない
  • 資産の大半が不動産で、このままだと相続の際、土地を手放すことになってしまう
 提案
  • 今ある不動産をなるべく高値で売却
  • 売却益を元手に不動産を購入
  • 資産管理会社を設立し、不動産を運用。家族が持続的に収入を得られるような仕組みづくり

相続した土地に「アパートを建てよう」と勧められたが…



お父様から総額8億円ほどの資産を相続していたA様。浮かない顔で相談にいらっしゃいました。わけをお聞きすると、こう話します。

「一人息子に多くの現金を遺してあげたいがどうすれば良いかわからない。所有する土地についてもどうしたらいいのかわからず、営業に来たハウスメーカーからは、アパートを建てて運用したほうがいいと勧められています。本当にこれでいいのでしょうか」

実は、親から不動産を相続した土地持ち資産家の方が不動産会社から勧められるがままに不動産を売ったり、手持ちの土地でアパート経営を始め、気づいたら資産が目減りしてしまい弊社にご相談に来られることはよくあります。途中でお子様が状況を把握して相談に来られるパターンや融資の相談をした金融機関から紹介を受けて弊社にいらっしゃるパターンもありました。

問題を察知し、お子様や第三者の方から最初にご相談があった場合でも、なるべく早く資産を持っているご本人に繋いでいただき、ご本人が資産をどう遺していきたいのか、まず想いをお伺いするようにしています。

経済的なメリットだけでなく、ご本人の想いを重視

今回のA様は、単に現金をたくさん遺したいというだけでなく、「一人息子のために、安定した収入が得られるような仕組みを遺してあげたい」と望まれていました。

これは非常に大事な点で、最初に動機づけができないと、どんな対策をしても意味がなくなってしまいます。人によって大切にしたいポイントは違います。経済的なメリットだけでなく、顧客様の想いを汲み取って、「誰のために・どうしたいのか」を明確にするようにしています。

A様の想いは、「一人息子が将来困らないようにしたい」ということ。そのためのスキーム作りとして、ご提案したのが「資産管理会社の設立」です。

収益不動産を「資産管理会社」で運用

A様は、複数の不動産をお持ちだったため、まず、個々の不動産の状況を検証して、収益を生み出していない不動産に関しては、高値で売れるように手配しました。そうして4億円ほどの現金に替えることができました。

ただ、現金のままだと、安定的な収入を得る仕組みを遺すことにならないため、A様には、4億円の収益不動産を購入することをお勧めしました。そして、運用方法に関してご提案したのが、資産管理会社の設立です。

ポイントは、複数の選択肢の中から、納得した方針で進めること


A様とのお打合せを開始してから、どう財産を遺していったら良いのか、不動産だけではなく、目先の気になる部分を丁寧にヒアリングし、1つずつ相談に乗りながら、A様の想いに沿う提案を数パターンご提示いたしました。

不動産は、個人、法人どちらで購入し運用したほうが持続的にお金を一人息子に残せるのか、
また、法人にも種類があり、株式会社・合同会社のうち、どちらが良いのかなど、それぞれの対策に対して、メリット・デメリットをお伝えし、ご納得いただいた上で資産管理会社の設立を決断いただきました。

設立を決めていただいた後も、設立に向けて法的な手続きを進める必要があるのですが、
A様には、「フルオーダーのスーツのように細かく内容を詰めることもできますが、既製品のようにいくつかのパターンから選ぶこともできますが、どうしますか?」とお伺いしたところ、それまでのご提案方法を信頼していただいていたため、「いくつかパターンを示してくれれば、その中から選ぶよ」とおっしゃっていただきました。弊社の場合、過去の豊富なお客様事例やサンプルがありますので、A様にあったパターンをご提案し、設立までスピーディーに対応することができました。
 

重要なのは「アフターフォロー」

正直、不動産の購入や売却だけなら、不動産仲介会社にお願いすることも可能でしょう。ではなぜ、弊社がお手伝いするメリットがあるのか。

一番大きいのは、「ご提案したプラン実行後もお付き合いは続く」ということです。

A様のケースでは、不動産購入時に大規模修繕が必要となることがわかっていたので、複数の修繕会社から見積をとり、A様にとってベストな会社を提案し対応いたしました。また、資産管理会社の決算の際には、税理士をご紹介しました。
お客様によっては、「顧問税理士を変える必要はありますか?」という質問をいただくこともありますが、その際は、顧問税理士に情報を共有し、連携させていただきます、とお答えするようにしています。

また、A様の場合、お子様がお一人だったため、ご提案はしていないですが、
お子様がお二人以上の場合、資産をどう分割していくのかなど、生前贈与のアドバイスや遺言書の作成支援も行っています。

大切な方に資産を遺したいとお考えの皆様へ

A様とは密なやりとりで信頼関係を築くことができ、スピーディーな決断を重ねることができました。また、良い不動産との巡り合わせもあり、ご相談から3カ月で解決に向かうことができたのです。

「自分たちだけでは資産をうまく活用することができなかった。息子の将来への不安もなくなり、本当に安心しました」と仰ってくださいました。

当社では、ご家族の想いを尊重しながら、大切な資産を守るためのご提案をいたします。顧客様とともに考えながら、少しでも不安を取り除くことができたらと考えております。
 

担当コンサルタント

       青山財産ネットワークス
財産コンサルタント 相澤 光
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、シニア・プライベートバンカー、公認不動産コンサルティングマスター、宅地建物取引士
  青山財産ネットワークス
財産コンサルタント 相澤 光
-1級ファイナンシャル・プランニング技能士
-シニア・プライベートバンカー
-公認不動産コンサルティングマスター
-宅地建物取引士
・経歴
不動産や信託の活用を軸とした永続型の財産承継コンサルティングを現場の最前線で行っている。節税目的の相続対策に警鐘を鳴らし、「財産全体が最適」となる承継・管理・運用を土台とするファミリーコンサルティングを幅広く手掛ける。ナレッジを集約した書籍を発行。セミナー登壇実績多数。YouTubeにて動画コンテンツも配信中。

・著書
青山財産ネットワークスの30年に渡るノウハウをまとめた『「5つの視点」で資産と想いを遺す~人生100年時代の相続対策』を執筆。2021年(11月15日-11月21日)紀伊国屋書店新宿本店 ビジネス書ランキング 第1位

※役職名、内容等は2024年8月時点のものです。

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