顧客情報:自動車教習所、お住まい:関西地方
売上高:約3億円、資産:約20億円
提供サービス:経営改善コンサルティング、経営改善が見込めなくなった後の対応方法の提示、廃業にかかる交渉・調整・手続き等の実行
親から継いだ代々の事業。しかし、時代や外部環境の変化で将来性が見込めない。重くのしかかった借入金をどうすべきか。このまま継続するか、廃業か……。想い入れのある家業だからこそ、深い悩みを抱えてしまう方もいらっしゃいます。
今回、ご紹介するのは、関西地方で自動車教習所を営むA様の事例です。経営改善が難しい事業の場合、従業員の生活や一族の資産を守るために、どのような対策をしていくべきでしょうか。
課題 |
- 業種自体の将来性が乏しく、十分な利益が出ていない
- 借入金が多大 で返済が難しい状況になっている
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提案 |
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経営改善コンサルティング
- 経営改善が見込めない場合の対応方法の検討
- 廃業にかかる交渉・調整・手続き等の実行
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60年守ってきた家業をどうにか続けたい
代々所有する広大な土地を活かして、自動車教習所B社を営むA様。B社は60年にわたり事業を続けてきましたが、若者人口の減少とともに需要が縮小し、事業の継続が厳しい状態でした。
「正直、そろそろ撤退かなと思っています」と話す親族役員のそばで、「自分は何とか頑張りたい……」とおっしゃるA様。親から継いだ家業に想い入れもあり、自分の代で終わらせてしまうことに抵抗感があるご様子でした。
とはいえ、現実は相当厳しい状況です。教習所には8000平米以上のコース敷地が必要ですが、それだけ広い土地を使っても、B社の場合、利益は700万円ほど。そのうえ、借入金は14億円ほどもあったのです。返済原資となる利益は減少し、土地を保有する負担ばかりかかっていました。土地を他のことに有効活用するか売却して他の資産を取得したほうが利益は増え、一族の資産を減らさずに済みます。
しかし、大事なのはご家族の想いです。A様の「家業を守りたい」という想いを汲み、弊社でコンサルティングを開始致しました。
客観的データをもとに、事業と家族の方向性を絞り込み
データを徹底的に検証し、一定期間の経営会議にも出席し、議論した結果、経営改善が難しい状況が見えてきました。経営陣の高齢化に加え、後継者はいないというA様。客観的なデータをお見せして、残念ながら事業を続けていく合理性がないことを説明せざるを得ませんでした。
何度もお打ち合わせをした後、最終的に「家族の資産をすべて失くす前に腹を決めたい」と、廃業を決意されました。
今回、弊社からご提案したのは、以下の施策です。
- 経営改善の可否の検討
- 経営改善が見込めない場合の対応方法(円滑な廃業)の検討
- 廃業にかかる交渉・調整・手続き等の計画と実行
廃業が決まった後のプロセスを説明していきます。
“円滑な廃業”を目指し、「事業承継ファンド」を利用
廃業を決めた後にやるべきことはたくさんあります。今回は廃業を進めるにあたり、6つのポイントがありました。
- 精緻な資金計画、銀行との協議
- 在籍している生徒への授業の継続(最低9か月)
- 労働組合への対応
- 従業員の解雇と再就職の支援
- 廃業にともなう許認可(公安委員会)への対応
- 一族の資産をより多く残す方法の検討
これらをすべて自力で行うとなると相当な労力が必要です。A様はこの対応を弊社に依頼されました。
ではなぜ弊社のファンドを利用することにメリットがあるのでしょうか。
「事業承継ファンド」が親会社になったことで、銀行からの信頼度が上がる
自動車教習所の場合、事業を停止し、生徒の新規募集を止めたとしても、残っている生徒がいるため、収入が途絶えても最大9カ月間の講習期間を設ける必要があります。また、廃業にともなって、退職金や各種解約金、資産の処分費用、事務手続費用等が発生し、その廃業手続き期間の人件費も確保しなくてはなりません。
そのためには、会社を閉めるまでの精緻な資金計画とアップデイトが必要になります。
また、銀行から借り入れをすることになりますが、廃業前提の会社に融資をしてくれる銀行はそうないでしょう。上場している弊社のファンドが親会社になったことで、銀行からの信頼度が上がり、円滑な融資条件の協議が可能となります。
こうした資金繰りや銀行とのやりとりも、多くの実績がある弊社が行います。
一族の資産を守り、「セカンドライフ」の糧をつくる
弊社ではお客様の事業だけでなく、オーナー様ご一族で保有している資産についても目を向けてコンサルティングを提案・実行しています。今回、廃業の適否を決める際には、一族の資産の観点からも検討して総合的に提案・ご支援させていただきました。
B社の場合、教習所の土地の一部を高齢の親族が保有していたのですが、相続発生時の税負担が大きいことが予想されていまいした。教習所の廃業を機に土地を売却することで資金作りや資産の組換えをすることができます。
弊社では土地持ち資産家様の不動産売買を多く取り扱っています。専門の不動産チームがその知見とデータを活かし、どういった業種に興味を持ってもらえそうか、その中でもどこの会社が高値で買い取ってくれそうかを検討しました。
住宅として需要の高いエリアかつ広大地ということもあり、マンション用の土地として活用できるのではないかと考えておりましたが、結果的に大手のマンションデベロッパーに買い取っていただきました。株と土地の売却金で、多額だった会社の借入金を返済し、個人の資産も十分残すことができたのです。
さまざまな専門家との協力による総合的な解決
他にも、「在籍している生徒の講習をどのように消化していくのか」「受講しない生徒はどうなるのか」といった点を公安委員会などに説明し、承諾いただく必要があります。この点は、弊社でお付き合いのある自動車教習所のコンサルティング会社をチームに呼び込み、対応いただきました。
また、従業員の解雇とそれにともなう円滑な転職への誘導、労働組合への対応、取引先への説明など、オーナーだけで担うには心身ともに負担の大きいこともたくさんあります。弊社グループに在籍する人事・労務のプロが対応するとともに、弁護士や人材紹介会社にも加わっていただき、ハードな業務をやり切りました。
「心からホッとしました」
A様の第一声です。「頑張ってやってきたけれど、もう限界でした。円滑に廃業することができ、やっとこれからのセカンドライフを考えられます」とおっしゃっていました。
解決の糸口が見えない事業者様こそご相談を
世の中にはさまざまな会社があります。将来的な成長が見込めず、収益が年々目減りしていく会社が多いのも現状です。しかし、後継者がいなかったり、M&Aも難しかったりする会社でも、やり方次第で幸せな廃業をすることができます。
廃業というと最悪の結末のように聞こえてしまうかもしれませんが、きちんと準備して進めていくことができれば、オーナーは資産を守り、次の生活の糧を残すことができます。また、従業員にとっても、いい条件で転職できる機会になります。
財産コンサルティングは、財産が有り余っている人に必要なものと思われるでしょうが、解決の糸口の見えないお困りの方こそ、お気軽にご相談いただければと思っています。
担当コンサルタント
島根 伸治(公認会計士)
取締役執行役員 事業承継アドバイザリー・ファンド事業部長
大手監査法人、メーカーを経て2001年当社グループに入社。
多くの企業オーナー様と会社の将来について話し、長きにわたり財務・資本政策や事業承継のご支援を実施。経済ショックや自然災害なども多発する今の成熟社会においては、必ずしも「成長」でなく、「縮小均衡」させて承継を図ることも有用と実感している。
他社様と「縮小型」の事業承継ファンドを運営し、株主となってご支援する例もある。
※役職名、内容等は2024年11月時点のものです。
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