2024.12.10
財産承継
ご家族の“想い”を大切に、段階的なプラン実行で生前対策をサポート
顧客情報:土地持ち資産家、お住まい:首都圏、資産:約20億円
提供サービス:親族への贈与プランニング、不動産(土地)の有効活用、資産管理会社の設立と不動産の法人移転
突然親が亡くなり、相続が発生した時、事前準備や遺言書がないとスムーズにいかないことが多くあります。特に、資産を持ち、きょうだいの多いご家族ならなおさらです。

今回は、首都圏にお住まいの土地持ち資産家・A様の事例です。80代後半になり、夫から相続していた財産を子へと承継したいが、きょうだいも多く、誰を後継者にしたらいいのかわからないと相談にいらっしゃいました。「揉めないための相続方法」をご紹介いたします。
 
目次
1.4人きょうだいの中で、誰を後継者にするのか
 1-1.子どもたちの気持ちを大切にしたい
2.心理的・経済的ハードルの低い対策からスタート
 2-1.遺言書を作成するうえでのポイント
3.ご家族の思いを汲んだ「不動産の有効活用」
 3-1.「経済合理性」だけでない対策で家族の幸せが増えた
4. ご家族の価値を正確に読み解いたご提案を
 課題 
  • 後継者が決まっておらず、遺言書も作成していないため、
    将来的に揉める要素がある
  • 財産が個人に集中しているため、所得税負担が大きい
  • 不動産の有効活用ができていないため、現金が貯まっておらず、
    将来的な納税資金に不安がある
 提案
  • 親族への贈与プランニング
  • 資産管理会社の設立と不動産の法人移転
  • 不動産(土地)の有効活用

4人きょうだいの中で、誰を後継者にするのか


「そろそろ相続の準備をしたい」。そうおっしゃっていらっしゃったのは、80代後半のA様。まだまだお若く、とても元気な女性でしたが、ご年齢を考えると今すぐに準備を進めた方がよい状況でした。相続は、元気なうちに時間をかけて無理なく行うことがいいからです。

というのも、短期間での行き過ぎた相続対策の強行にはリスクが伴います。当社のお客様ではございませんが、実際に、ご高齢の方が相続直前になって多大な借り入れをして不動産を購入し、相続発生後に相続人の方が相続税を「0円」として申告した結果、税務署より「節税対策なのではないか?」と疑われて訴訟に発展、最終的に多大な追徴課税に至ってしまったという事例もあります。また、財産の運用のために不動産投資をしたとしても、収益を上げるのには時間がかかります。

A様の場合、後継者が決まっておらず、遺言書もないとおっしゃっていました。

「実は子どもが4人おりまして、誰を後継者にしたらいいのか考えてしまって……。なるべく子には平等に財産を残してあげたいと思っています。」(A様)

子どもたちの気持ちを大切にしたい

ご家族への思いが強く、相続対策についてもご自身の意志がはっきりとしているA様。まずは現状分析を行い、今ある財産を平等に分けた場合、どんなことが起こるのかをお伝えしました。

そのうえで、弊社からご提案したのは、以下の施策です。
  • 親族への贈与プランニング
  • 納税用土地の確定測量の手配
  • 資産管理会社の設立と不動産の法人移転
  • 不動産(土地)の有効活用

「何より子どもたちの気持ちを大切に、無理なく準備を始めたい」というA様のご意志を尊重し、遺言書の作成や納税を見据えた土地の確定測量から取り掛かることにしました。そして並行して、資産管理会社も設立しています。次に詳しくご説明いたします。

心理的・経済的ハードルの低い対策からスタート

A様の場合、これまで不動産収入などがすべて個人の所得となっている状態でした。そこでまずは後継者を役員とした資産管理会社を設立した上でA様所有の不動産を法人へ移転、法人が賃料で得た収入を役員報酬として後継者に支払うような形にすることで、後継者の資産形成を図る方針としました。

A様の場合、これまで不動産収入などがすべて個人の所得となっている状態でした。そこでまずは資産管理会社を設立した上で、A様所有の不動産を法人へ移転いたしました。また、一族の不動産などの資産を将来に渡って管理・運用していくために、後継者には役員として経営に参画してもらい、法人が賃料で得た収入を役員報酬として後継者に支払うような形にすることで、後継者の資産形成を図る方針としました。


それと並行して行ったのが、後継者を決め、遺言書を作ることです。

A様よりご依頼を頂き、4人のお子様たちと面談し、私からお母様の財産状況や思いを正確にお伝えしました。長男次男三男長女という、きょうだい構成でしたが、まず長男は承継を辞退され、次男が継がれることとなりました。特に揉めることなく後継者が決まったのは、A様の日頃からの「子や孫には平等に接して、財産もあげたい」という思いが実を結んだからでしょう。こうした財産状況の共有や、対策を考えていくうえで、客観・中立的な立ち位置で家族の調整役を担うことも私達の特色です。

財産の多い方の場合、どれだけ準備をしたとしても揉めてしまうことがあります。ただし、生前、元気なうちに相続について話し合い、折り合いをつけておけば、「争続」となってしまうリスクを大幅に下げることができます。また、実際の相続までに財産が増えていくかもしれませんが、現状の財産の内容で遺言書を作っておくことが重要です。

遺言書を作成するうえでのポイント

相続後に一家を守れるように後継者の方の比重を高めた承継方針とする場合、遺言書を作成する際にそれをきちんと書いておくこと。そしてそのような場合でも、後々トラブルにならないようにするために他の家族に渡すための財産や、相続税を支払えるようにするための資金確保の準備をしておくことが、スムーズに相続するためのポイントとなります。

A様の場合は「皆平等に」との思いから、これまでもこまめに子や孫全員に生前贈与を繰り返していらっしゃいました。これはとてもいいことなのですが、今後のプランニングとしては、計画性を持ってやっていきましょうということをご説明いたしました。

このように、A様やご家族に心理的・事務的な負担のないところから対策をスタートしていきました。

ご家族の思いを汲んだ「不動産の有効活用」


A様とご家族にかかるご負担の少ない将来の分析や相続の方針決定などから提案・実行いたしましたが、その次のステップとして、保有する不動産をどのように有効活用できるのかについても検証を進めました。

A様は首都圏一等地に自宅を構え、駐車場を数カ所お持ちでした。場所も規模もさまざまでしたが、どのような活用ができるのか、そしてどのくらい収益が見込めそうか、徹底検証していきました。このうち、自宅敷地内にある駐車場と活用できていなかったスペースを用いて、不動産投資をすることが有効とわかり、A様にご提案したのです。

オフィスビルやマンション、商業施設なども候補にあがる中、ご家族が選ばれたのが社会福祉施設でした。自宅敷地を活用するなら「地域のための施設にしたい」というお考えでした。

「毎朝、自宅を出ると、目の前の施設に出入りする利用者の方が笑顔で挨拶してくださるんです。それが日々の喜びとなっています。」

社会福祉施設が建った後、A様の次男で後継者となったB様はそのようにお聞かせくださいました。

「経済合理性」だけでない対策で家族の幸せが増えた

一から土地の有効活用を検討することは、お客様にとっても、私どもにとってもやりがいのある施策です。代々受け継いだ土地に何を建てるのか。それはA様ご家族のように、収益以上に得られるものが大きいと感じていただけることが多いからです。

「施設を作るにあたり、銀行やゼネコン、設計士、行政などとたくさんの関係者とやりとりする必要がありました。自分たちだけだったら、とてもできなかったと思います。儲けだけじゃなくて、日々自分たちも喜びを噛み締められるようなことに土地を活用したい。その思いを理解して、こちらと同じ目線でアドバイスをくれる青山財産ネットワークスさんだったから安心してお任せできました。」(A様)

ご家族の“価値”を正確に読み解いたご提案を

一族の財産を守っていくうえで、ご家族によって、とにかく収益をあげたいのか、儲けよりも譲れないものがあるのか、大切にされている価値はそれぞれ違います。相続には一筋縄ではいかないことが多くあります。ご家族の“価値”を読み間違えてしまっては、スムーズに承継することが難しくなってしまいます。

私どもは「経済合理性」だけでなく想いを実現していく提案をさせていただいております。是非、ご家族の大切にされている思いをお聞かせください。

担当コンサルタント

       青山財産ネットワークス
財産コンサルタント 相澤 光
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、シニア・プライベートバンカー、公認不動産コンサルティングマスター、宅地建物取引士
  青山財産ネットワークス
財産コンサルタント 相澤 光
-1級ファイナンシャル・プランニング技能士
-シニア・プライベートバンカー
-公認不動産コンサルティングマスター
-宅地建物取引士
・経歴
不動産や信託の活用を軸とした永続型の財産承継コンサルティングを現場の最前線で行っている。節税目的の相続対策に警鐘を鳴らし、「財産全体が最適」となる承継・管理・運用を土台とするファミリーコンサルティングを幅広く手掛ける。ナレッジを集約した書籍を発行。セミナー登壇実績多数。YouTubeにて動画コンテンツも配信中。

・著書
青山財産ネットワークスの30年に渡るノウハウをまとめた『「5つの視点」で資産と想いを遺す~人生100年時代の相続対策』を執筆。2021年(11月15日-11月21日)紀伊国屋書店新宿本店 ビジネス書ランキング 第1位

※役職名、内容等は2024年11月時点のものです。

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