顧客情報:土地持ち資産家、お住まい:首都圏、資産額:約10億円、提供サービス:底地の解消・改善
貸している土地上に借地人が建築して住んでいるのが「底地」。底地をお持ちの方の中には、その数が数十カ所にもおよぶ方も少なくありません。数が多いほど管理は煩雑になり、将来的に相続する家族が手間と労力を負うことになります。
今回ご紹介するのは、首都圏にお住まいのA様の事例です。「特に今は不便を感じていない」と仰っていたA様が、底地を解消することとなった経緯とは何でしょうか。
課題 |
- 底地を相続する次世代にとって、管理が大変になる可能性がある
- 運用しようにも収益性が低い
- 売却するにも換金性が低い
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提案 |
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親は不便を感じていない「底地」の“本当の問題点”
「うちは代々、20ほどの底地を持っていて、そのほとんどが手渡しで地代をいただいています」
朗らかな笑顔でそうおっしゃるのは土地持ち資産家であるA様。多くの借地人から毎月集金するのは労力がいるはずなのですが、「昔からの知り合いばかりですし」と苦労を感じている様子はありません。
しかし、息子のB様がそれを遮るように「いやいや、私の代になったらそんな手間はとても無理なので、何とかしてほしいんです」と困った顔でおっしゃいます。
この底地問題。実は、次世代のほうが課題感を持っていることが多いのです。そもそも「底地」の問題点とは何でしょうか。
大きくは下記の4点が挙げられます。
- 管理が難しい
- 収益性が低い
- 換金性が低い
- 返還されにくい
これらが後々、課題となることが多い理由についてお伝えします。
地代収入は固定資産税に消えていく
土地の所有者とは別に借地人がいる底地は、カップのないソーサーのような状態です。たとえブランドものの食器だとしても、ソーサーだけでは価値が下がってしまいます。
たとえば全体で1億円の価値があるとすれば、底地単体では単純計算で半分の5000万円になるのではなく、2000万円くらいの価値になってしまうのです。土地が返還されることはほとんどなく、一般には換金性が低いとされています。
また、地代が収益となるものの、古くからの付き合いで契約が続いているケースも多く、なかなか値上げできずにいる土地も少なくありません。収益性が高いとは言えないのです。そのうえ、A様がおっしゃったように、昔からの慣習として手渡しで地代を回収することも多く、手間がかかります。収入には所得税がかかり、更に財産として評価されるため、相続するには相続税の負担をしなければなりません。
「底地解消のための対策」を生前に行うべき理由
「昔からそうでしたから、手間は負担に感じておりません。ただ、固定資産税は土地の所有者が納めますから、地代のほとんどが納税に消えてしまい、儲けは確かにあまりありませんね」(A様)
借地人との契約更新の時期もまだ先で、今すぐどうにかしたいということでもないが、何かいい方法があれば教えてほしいということでした。
そんなA様に当社は、「底地をどうにかしたいと思われているなら、生前に対策したほうがいいですよ」とアドバイスさせていただきました。そして、底地解消のお手伝いをすることとなったのです。
「急がない」とおっしゃっている案件なのに、なぜ今から対策が必要なのでしょうか。
それは、以下の「底地解消のための対策」を行うのに、相続や契約更新のタイミングでは遅いからです。
- 底地を借地人に売却する
- 借地人から借地権を買い取る
- 借地人に土地を半分だけ売却し、所有権を半々にする
- 借地人と協力し、それぞれの権利を一緒に売却する
- (1〜4が難しかった場合)地代の値上げ交渉をする
続いて、具体的に解説していきます。
すべての契約内容を把握し、借地人のニーズを聞き出す
まず行うべきは、借地人と交わしているすべての契約書の確認です。更新時期や、地代が適正であるかを当社のほうで把握させていただきました。
次の更新が20〜30年後だとしたら、10〜5年前くらいから準備したほうがいいでしょう。先に挙げた1〜4の対策は、どれも借地人の懐事情や家庭環境に左右されるため、時間をかけてコミュニケーションを取りながら関係性を築いておくことが大事だからです。
今回のA様のケースも、1〜4の対策を見据えながら、当社のほうですべての借地人の方とお会いして、先方のニーズを聞き出しました。
借地人の方に底地を買い取る意思があるのか、逆にA様が借地権を買い取れる可能性があるのか。土地が広ければ、半分にわける交渉が可能なのか。もしくは返還の道がなくとも、借地権と土地の所有権をそれぞれ一緒に売却することはできるのか。
借地人の家族構成などパーソナルな部分も把握しながら、A様だけでなく、借地人にとっても課題が解消し、財産の価値を増やせるように解決策を探っていきました。
「密なコミュニケーション」の結果、高値の売却に成功
そして、ある底地の借地人の方が、ご高齢で住まれている状況もあり、住み替えを検討していることがわかりました。その土地は立地がよく、駅近に加えて角地にあり、大きさも十分にあります。
実は隣の土地をとある企業C社が所有しており、同社がオフィス拡大の計画をしていることも判明。3カ月かけて、借地人の方とお会いして、コミュニケーションを重ねました。
結果、A様の土地と、借地人の方の借地権を合わせてC社に売却することが叶い、底地だけなら安値だった土地を高値で売却することができたのです。
これはたまたまタイミングがよかった結果とも言えますが、事前にそれぞれの事情を把握していないと成立しなかった例でしょう。タイミングが重要であるがゆえに、相続の段になって、突然売却しようとしても難しかったとも言えます。
相続時になると、10カ月以内に対策しなくてはならない
一方で、いざ相続することになって急いで対策した場合、どのような方法があるのでしょうか。
まず、生前対策と同様に「借地人に売却する」という方法があります。または、「不動産会社に売却する」道もあるでしょう。買い手がつかなかったり、相続税が用意できなかったりした場合は、「物納」として国に納めることも考えられます。ただし、それには国が定める高いハードルがあり、厳しい条件のクリアが求められます。
そのため、とりあえず家族の誰かが相続税を支払い、相続したことで、その後の財産の承継・運用・管理面での負担や不安が訪れることとなります。
いずれにしても、それらを相続税の申告・納税期間である10カ月以内にできるかというと、現実的にはなかなか厳しいでしょう。
そのため、生前、早めの対策をしておくのがベストなのです。
次世代の方からのご相談もお待ちしております
とはいえ、A様のように当代の方で、これまで底地に不便を感じていたり、高い換金性の可能性を探っていたりする方は多くないかもしれません。しかし、次世代に承継した際、底地の現状をすべて把握し、一から借地人と密なコミュニケーションを取り続けるのはかなりの負担です。
当社ではその役割をすべて担わせていただきます。よく費用面を心配されるのですが、特別なコンサルティング料金は一切発生せず、宅地建物取引業法の売買手数料の範囲内での成功報酬体系となっております。
親御さんがお持ちの底地についてお悩みの方は、ぜひご相談いただければと思います。
担当コンサルタント
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青山財産ネットワークス
財産コンサルタント 相澤 光
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、シニア・プライベートバンカー、公認不動産コンサルティングマスター、宅地建物取引士 |
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青山財産ネットワークス
財産コンサルタント 相澤 光 |
-1級ファイナンシャル・プランニング技能士
-シニア・プライベートバンカー
-公認不動産コンサルティングマスター
-宅地建物取引士
・経歴
不動産や信託の活用を軸とした永続型の財産承継コンサルティングを現場の最前線で行っている。節税目的の相続対策に警鐘を鳴らし、「財産全体が最適」となる承継・管理・運用を土台とするファミリーコンサルティングを幅広く手掛ける。ナレッジを集約した書籍を発行。セミナー登壇実績多数。YouTubeにて動画コンテンツも配信中。
・著書 青山財産ネットワークスの30年に渡るノウハウをまとめた『「5つの視点」で資産と想いを遺す~人生100年時代の相続対策』を執筆。2021年(11月15日-11月21日)紀伊国屋書店新宿本店 ビジネス書ランキング 第1位
※役職名、内容等は2024年12月時点のものです。
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