2023.10.17
財産承継財産運用
任意組合型の不動産小口化商品とは?メリットやデメリット、匿名組合型との違いを徹底解説
任意組合型の不動産小口化商品は、資産形成の方法として注目を集めています。
この記事では任意組合型の不動産小口化商品の購入を検討中の方に、匿名組合型との違いや、メリット、デメリットを解説します。おすすめの任意組合型商品も紹介しますので、参考にしてください。

参考
「そもそも不動産小口化商品とは?」「投資するメリットが知りたい」という方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。
不動産小口化商品の基本、メリット・デメリットを詳しく解説しています。

不動産小口化商品とは?選ぶべきメリットと相続との関係

不動産小口化商品とは


不動産小口化商品とは、複数の出資者で物件を購入し、賃料収入が分配される不動産投資商品のことです。
対象の物件は、不動産小口化商品を販売する不動産特定共同事業者が選定し、出資を募ります。

不動産小口化商品は契約の形態によって、任意組合型と匿名組合型、賃貸借型の3種類に分かれています。

任意組合型の不動産小口化商品とは

金銭を出資することで「任意組合」に加入した組合員が、共同で不動産を所有する仕組みです。組合の理事長は事業者が務めます。
理事長は組合員から不動産の運用を委任されており、組合員には運用中の賃料収入や解散時の売却金などの収益が分配されます。

任意組合型と匿名組合型の違い

不動産小口化商品の種類の中でも、一般に流通しているのは任意組合型と匿名組合型の2種類です。
不動産小口化商品を購入する際には、まず任意組合型と匿名組合型を比較検討する方が多い傾向にあります。

ここでは、自分に合った仕組みを選ぶために両者の違いを解説します。

不動産の所有権

出資者に小口化された不動産の所有権があると認められるのは、任意組合型のみです。
任意組合型は1つの不動産の所有権を複数口に分割するため、実物不動産と同等に取り扱われます。

出資者には、出資した口数に応じ、小口化された不動産の所有権(持分)が認められますが、自分の名前で不動産登記ができるかどうかは、「現物出資型」若しくは「金銭出資型」かによって異なります。

このうち、「金銭出資型」では、組合に対して金銭を出資します。
不動産は組合の共有財産であることに変わりはありませんが、不動産登記は組合の業務執行組合員である事業者が代表して行います。そのため、出資者は出資した口数に相当する持分の不動産登記はできません。
相続や贈与による登録免許税などの登記にかかる費用が不要になる点や、出資者名簿や組合員証によって不動産を所有していることを証明することが可能である点が、大きな特徴です。

匿名組合型では事業者が代表して所有権を持つため、出資者は出資持分として権利を手にすることになります。
匿名組合型では、運用中の中途脱退についても、自身の出資持分に応じて換金手続きをすることで可能です。

1口の価格

1口あたりの価格帯も、任意組合型と匿名組合型では一般的に異なります。
任意組合型は1口100万円~1,000万円程度であるのに対し、匿名組合型は1口1万円程度から購入可能なケースもあります。

運用期間

任意組合型は中長期間運用する商品が多く、一般的な運用期間は5~10年程度です。
匿名組合型は短期間運用する商品が主流であることが特徴で、最短で1ヶ月から始められるものもあります。

不動産税制

不動産税制について説明するために、任意組合型と匿名組合型の税制上の扱いについてまとめました。

   任意組合型 匿名組合型
税制上の扱い  不動産所得 雑所得
 不動産の評価方法 土地:路線価など 
建物:固定資産税評価
明確な規定なし


任意組合型は税制上、実物不動産を所有することと同等の扱いを受けます。
確定申告時は不動産所得として認識し、所得金額に応じた所得税の支払いが必要です。
相続や贈与の際には、一定の要件を満たせば小規模宅地等の特例が適用されます。

任意組合型はこんな方におすすめ


任意組合型は効果的な資産運用の方法ですが、匿名組合型と比べると敷居が高いことから購入を迷う方も多いでしょう。

ここでは任意組合型の適性について解説します。自分の資産運用の目的やライフスタイルに合っているかどうか確認してください。

財産承継を円滑にしたい方

不動産小口化商品は実物不動産と比べて相続時に分割しやすく、遺産トラブルを回避しやすくなります。

手間を抑えて投資を行いたい方

本業が忙しい方にも、任意組合型がおすすめです。
事業者が代表して物件の選定から出口戦略まで行う上、住人の募集や建物のメンテナンスなども任せられるため、不動産の管理・運用に掛かる手間を最小限に抑えられます。

仮に運用期間の途中で現金化が必要になった場合も、商品によっては中途解約が可能です。
万が一の場合に備えて、購入前の段階で事業者に元本や分配金の実績を確認することで、安全に購入できます。

2023年10月時点。最新情報は国土交通省ホームページをご確認ください。

まとめ

任意組合型の不動産小口化商品は、匿名組合型と比較して運用期間が長期にわたります。そのため、安定した利回りで長期の資産運用をしたい方におすすめです。
管理・運用は事業者に一任するため手間を最小限に抑えられる一方で、十分な収益を得るためには購入前に信頼できる事業者を見極めることが重要です。

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