北陸新幹線延伸敦賀駅開業に向けた、官民連携の駅前再開発事業
2022年9月1日、福井県・敦賀駅前に『TSURUGA POLT SQUARE「otta」(ツルガ ポルト スクエア オッタ)』がグランドオープン。8月30日、完成記念式典を行いました。
この事業は、青山財産ネットワークスが手がける地域創生事業の第2号案件です。
2024年、北陸新幹線・敦賀駅が開業予定。金沢・東京をはじめ、関西方面・中京方面への玄関口となります。
福井県敦賀市では、来訪者・市民の交流やにぎわいを創出する拠点を整備するため長年にわたり検討し、2018年、公募型プロポーザル方式を用いて民間のノウハウや資金などを活用する敦賀駅西地区土地活用事業に着手しました。
「otta」では、ビジネス・旅行・海外からの長期滞在宿泊客や国内外のVIPへも対応できるワンランク上の宿泊拠点「ホテルグランビナリオTSURUGA」をはじめ、飲食店、物販店、子育て支援施設、知育・啓発施設などの複合施設、憩いと交流の場となる「駅西広場公園」などが整備されています。
民間の出資者の皆様からの資金提供を活かし、実現できた事業です。
長年培ってきた「不動産特定共同事業」のスキームを活用
青山財産ネットワークスは、「不動産特定共同事業」において約20年の実績を有しています。
2013年の不動産特定共同事業法改正により新たに設けられた「特例事業」(SPCを活用した倒産隔離型の不動産特定共同事業)のスキームを活かせると考え、地域創生事業に参画しました。
私たちが手がけた地域創生案件の第1号は、石川県小松市の都市再生整備計画(小松中央地区)に位置づけられた事業。2017年、JR小松駅前において、大学やホテルが入居する複合施設として開業した「Komatsu A×Z Square(こまつ アズ スクエア)」です。
敦賀でも、小松市と同スキームを活用。不動産/公的補助制度による補助金も活用し、約27憶円(知育啓発施設内装工事費・知育啓発施設書籍費用除く)の資金を調達しています。
国土交通省で公表されている「不動産特定共同事業(FTK)の利活用促進ハンドブック」においても、不動産特定共同事業における官民連携と地域創生の好事例として取り上げていただきました。
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不動産特定共同事業(FTK)の利活用促進ハンドブック(P29~31)
国交省HP(不動産特定共同事業について)
「サステナブルな街づくり」に貢献
投資家の皆様は、収益性だけでなく「地域創生に貢献したい」という思いを持って出資してくださっています。
近年、注目を集めているサステナビリティ(持続可能性)の観点からも、価値のある取り組みと捉えられています。
自治体の方々とプランニングやゾーニングについて話し合う場面でも、皆さん「住み続けられる街づくり」について真剣に考えていらっしゃると感じます。
各地域が存続・発展していくためには、人口を増やすことが課題となっています。「子育て世代にとって魅力的な、住みやすい街にしなければならない」と考えられています。
小松市の事業においても、「子どもを安全に、思いきり身体を使って遊ばせられる施設があるといいね」「転勤で引っ越してきたお母さんが孤立しないように、育児相談ができる拠点があればいいよね」と、地域を挙げて子育て支援をしたいという気持ちを込めた施設が設けられました。
また、四年制大学の空白地だった地域に、地域の短期大学と看護系専門学校を再編した4年制大学が創設されたことで、地域の若年層の流出を防ぎ、他県からも学生が集まり、周辺地域では学生用賃貸マンションや飲食の需要も活性化しています。
「TSURUGA BOOKS & COMMONSちえなみき」内
敦賀市の事業でも、旅行者を迎える玄関口である一方、地域住民にとって日常的に楽しめる場所、利便性が高い施設を目指しました。
全国的に書店の撤退が相次いでいますが、「自分たちの街には書店があってほしい」と願う人は多いものです。「otta」には、敦賀市公設の知育・啓発施設「TSURUGA BOOKS & COMMONSちえなみき」が整備されました。迷路のような書棚に3万冊を超える本が並び、大人も子どもも参加できるイベントの開催が定期的に予定されています。
子育て支援施設ともつながる仕組みとし、子どもが本に触れやすい環境を提供するほか、ママの交流の場、育児相談ができる場としても活用されることを期待しています。
関係者の皆様からのコメント
● 福井県敦賀市役所 都市整備部長 小川 明 様
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当該事業は、敦賀市初の本格的な官民連携事業として、民間と行政が一体となって事業を推進してきました。
開業に至るまでの青山財産ネットワークスの皆さまのご努力とご尽力に、心から敬意を表します。
”otta”が敦賀を訪れた人々を温かく迎えてくれる場所として、また、市民にとっては普段使いの拠点として、いつまでも輝き続けるエリアとなるよう、引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。 |
●清水建設株式会社 北陸支店開発営業部 営業課長 荒井 英樹 様
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本事業はまさに“敦賀の顔”であり“敦賀の象徴”にしたいという想いで、“良いものづくり”で貢献すべく取り組みました。
完成式典では多くの参列者の方々をお迎えし、期待度の高さを肌で実感しました。出店されるテナント様をお席にご案内した際に「本当に素晴らしい場所になったね」と笑顔でお声がけ頂いたのは忘れられません。
今後はこの『otta』が、“敦賀の象徴”として末永く地域の人に愛される地域になることを願っています。 |
収益事業として継続できる仕組みにより、地域経済の発展に貢献
地方都市を中心とした駅前再開発事業や市街地再開発事業のニーズは高まりつつあります。
「住み続けられる街づくり」の実現のために私たちができることは、民間事業者としてフラットな立場で、収益事業として継続できるような仕組みを作り、長期に安定的に運用していくことです。
この考え方・手法は、以前に比べ自治体の皆様からも受け入れられやすい土壌ができつつあります。
現在、私たちのところには、小松市や敦賀市の事例を知った自治体や再開発組合などから複数のご相談が寄せられており、この小松市、敦賀市の成功事例を参考にしたいというご意見をいただいております。
私たちはこれまでの経験を活かしながら、自治体や投資家さんの思いを大切に、1件1件取り組んでまいります。
投資家の皆さんにも、「地域への貢献」という価値も持つ、新たな投資先の選択肢としてご検討いただければと考えています。
【プロフィール】
宮上 正子
不動産事業本部 地域創生プロジェクト事業部 部長
不動産デベロッパーにて、収益不動産やリゾート施設の企画・販売・運営を経験。
2003年当社入社、顧客の不動産ソリューションのサポート、不動産特定共同事業法を活用した都心収益不動産による商品企画、2014年より官民連携の地域創生事業に従事。
<主な資格>
宅地建物取引士、不動産証券化協会認定マスター、 不動産コンサルティングマスター、ビル経営管理士
※役職名、内容等は取材時のものです。
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