不動産相続対策について考える
2015年の相続税増税が相続対策ブームに拍車をかけ、『やってはいけない相続対策』をやる人々が増えている昨今。
財産を守る『失敗しない相続対策』とはどういうものかをお伝えします。
イチマルコンサル
やるべき対策と、やってはいけない相続対策
私どもが創業以来の基本とし、注力しているのが「イチマル(1〇)コンサルティング(略)イチマルコンサル」です。相続税課税資産額に対し、10%の収入を確保する考え方で、資産を活用し、法人を中心に収入を上げる仕組みを構築していきます。その仕組みを維持することで、収入を減らさず、次の代に多くの財産を残せます。
一方で、相続対策を口実にした業者の話に乗ってしまい、財産を毀損させてしまう方がいるのも事実です。近年の超低金利や、2015年からの相続税の増税を背景に、資産家層を中心に、相続対策の商品セールスが増加。サブリースをセットにしたアパートの建築提案はその代表格です。
その結果アパートが増えすぎ、既に問題視されていますが、将来的な空き室の増加、家賃の大幅下落の方が危惧されます。なぜならば、少子化の影響で、2020年以降は首都圏でも賃貸需要層が大きく減少し、2040年には20~49歳人口は2015年より21.3%減少するという予測があるからです。
出所:国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口」(平成30年3月推計)
ならば「組み換えを」と考えても、都心部の収益不動産は価格が高騰し、なかなか良い物件は買えません。しかしイチマルコンサルなら、競争に強い高利回りのアパート建築でも実現が可能です。その一例をご紹介します。
ご相談事例
低収益不動産の組み換えをあえてアパート建築で実現
ご相談主は45歳の男性(長男)。内容はお母様(70歳)の相続対策です。財産(課税資産総額)10億円。財産構成は自宅、生産緑地、宅地並み農地、駐車場2カ所、アパート3棟、貸地7カ所で、相談時点での相続税は4億5800万円でした。このうち、駐車場と宅地並み農地、貸地は、収益性が非常に低かったため売却し(図1)、都内の田園調布駅から徒歩3分の土地(2億2000万円)を購入。ここに法人名義で賃貸アパート(25平米の1K 12戸)を総事業費9000万円で建築しました。
前述のアパート営業による最近の事例では、サブリース後の利回りは5~6%のものも珍しくなく、家賃が15%下がれば収支は赤字に転落し、返済に行き詰まります。それに対し、私どもの例は、好立地への組み換えと建築コストの削減、プランの工夫等で、建物部分(法人側)の高い投資利回り(表面約18%、NET10%)を実現。仮に空室率5%で、15年後に20%下落する見立てをしても、法人での留保金は年間600万円以上(税引後)となります。この賃貸収入だけで15年間で1億1千万円以上が会社に貯まる計算です。
結論
不動産を売却せずに納税資産の準備が可能に!
このほか、基本的な相続対策に加え、古アパート建物の法人移転やロードサイド土地活用など法人や長男に収入が集まる仕組みを構築。家全体の税引後の手残り収入が倍増し、結果として相続税も4億5800万円から2億6000万円に下がりました。
この先、例えば15年後に相続が発生しても、お客様が所有していた土地を、法人で1億5000万円分ほど買い取り(図2)、不足分は現金(相続財産+長男の預金)と保険でまかなえるようになりました。収入を生む不動産だけでなく守り続けたい生産緑地も売却することなく、次世代に引き継がれました。
こういったイチマルコンサルを中心に、私たちは「100年後もあなたのベストパートナー」としてお客様の幸せに貢献いたします。
高田 吉孝
執行役員 財産コンサルティング事業本部 副本部長
profile:CFP(1級FP技能士)/公認不動産コンサルティングマスター/宅地建物取引士。主に地主さん向けに相続の事前対策から事後対応を手掛ける。相続対策・不動産コンサルティング実績は数百件に及ぶ。相続不動産コンサルティングの第一人者。
著書:プロの財産コンサルタントが教える
『やってはいけない不動産相続対策』
実業之日本社
※役職名、内容等は取材時のものです。