土地を持て余しているけれど、どのように活用すれば良いのか悩んでいるという人も多いのではないでしょうか。ローンで賃貸マンションを建てたとしても、老後に借金を作るのはリスクが大きく、相続のことも心配です。
そんなときにおすすめの方法が等価交換です。この記事では、等価交換方式とは何か、等価交換のメリット・デメリットなどを紹介します。不動産の有効活用として検討してみてください。
不動産をどのように活用する?
所有している土地が余っているが予算的にマンションやアパートを建てるのは厳しい、立地が良いので簡単に土地を売ってしまうのはもったいないという方もいますよね。
マンションなどの建物を建てる場合は膨大な資金が必要ですし、ローンを支払っていかなければいけません。マンション経営などのそういったデメリットを解消する際におすすめするのが等価交換です。
「使わない土地があるがどうして良いか分からない」、「賃貸アパートに建て替えたいが資金がない」、「今後、土地の相続でトラブルが起こる前になんとかしたい」とお悩みの方は、等価交換方式を検討してみてはいかがでしょうか。
等価交換方式とは
等価交換方式とは、土地所有者が土地の所有権の一部を土地開発業者(ディベロッパー)に譲渡して、その分だけ建物の所有権、もしくは敷地権を得る仕組みです。 土地と建築の費用を「等価」にして交換します。
土地を活用したい土地所有者と、建物の建築をしたいディベロッパーとのマッチングによって成り立っており、この両者が土地と建物の所有権を持つ方式です。
等価交換の特徴
等価交換では、土地所有者は建築費用を出さずに建物を得られて、使わずにいた土地を活用できます。建築費用を出さずに済むのは、共有事業としてディベロッパーがすべての建築費用を支出してくれるからです。
ディベロッパーにとっては、建物の建築に必要な土地の所有権を一部得られるのがメリットとなります。建物が建設し終わった後、最終的に土地と建物の所有権をどう割り振るかは、土地の価格と建築費の関係で決定されるのが一般的です。
具体的な例をご紹介
ここでは、土地所有者とディベロッパーの等価交換について、具体的な例をご紹介します。
土地所有者の土地価格が8億円、ディベロッパーの建築費が2億円の場合、土地と建物の総額は10億円です。そのうち、土地所有者が80%、ディベロッパーが20%の所有権割合となります 。建物は、土地所有者が1億6千万円、ディベロッパーが4千万円となるでしょう。
等価交換によって、土地所有者は土地の有効活用ができ、相続税評価額も下がる可能性があります。
● 土地所有者 土地の80%=8億円、建物の80%=1億6千万円
● ディベロッパー 土地の20%=2億円、建物の20%=4千万円
等価交換のメリット
等価交換は、土地所有者にとってもディベロッパーにとっても大きなメリットがあります。なぜなら、土地所有者は借入金なし(ローンなし)で賃貸マンション経営ができ、収入が得られるからです。
さらに、土地所有者はディベロッパーに建物を建築するためのスキルやノウハウを委託し、建築から建築後のメンテナンスまで安心して土地活用ができます。
ディベロッパー側は、土地を高額で購入して建築をする必要がなく、リスクが軽減できるというのがメリットです。
資金がなくても土地活用ができる
使わない土地を活用したいが資金がないという土地所有者にとって、資金がいらず借入金の返済リスクもない等価交換は、解決策となり得るでしょう。
新築物件が得られるだけでなく、オーダーメイドでこだわりのマンションを手に入れることも可能です。さらに、自分も居住して、賃貸で家賃収入の利益も得るといった方法もあります。等価交換は、資金や借入金がなくても土地活用できる便利な方法と言えるのです。
等価交換のデメリット
等価交換方式には、メリットだけでなくデメリットもあります。土地所有者にとってのデメリットは、ディベロッパーが主導権を持ち、土地所有者が弱い立場に立たされ、望む資産状況が得られない可能性があるということです。
土地所有者とディベロッパーは、土地と建物の共有者となるため、不動産の権利が複雑化します。ディベロッパーに任せることで、土地所有者はそれに従わざるを得なくなり、ディベロッパー主体になってしまう心配があります。
土地の所有権を手放すことになる
土地所有者にとっては、100%の所有権だった土地をディベロッパーと共有することになるのがデメリットです。建物を共有、または区分所有すると、複数の権利者が利害関係で対立したり、将来的に売却や建て替えをするのにトラブルが生じる可能性があります。
売却する場合は、全員が同意しなければできません。また、区分所有建物の建て替えの場合は、区分所有者と議決権の4/5がなければならないという決まりがあります。このように、等価交換は土地所有者にとって土地の所有権を手放すことになる上、不動産の権利が複雑になるという点がデメリットです。
立地が悪いと実現しない
土地所有者の悩みを解決する方法の一つとして等価交換を挙げましたが、まず前提として、ディベロッパーが等価交換に同意する魅力ある土地でなければいけません。そのためには、立地が良く面積が広い土地であることが重要です。
建物を建築して、そこからどのくらい賃貸費用を得られるのかを見極めなければ、ビジネスは成り立ちません。立地が悪ければ土地活用のための等価交換は実現しないのです。
なぜ等価交換が選ばれている?
メリットもデメリットもある等価交換が多くの人に選ばれている理由としては、大きくは相続対策につながるからです。
等価交換を行うと土地の評価額が下がります。さらに、土地の所有が減って建物を第三者に賃貸することで、相続税評価額が下がって相続税の負担が軽減される可能性もあるでしょう。
ここでは、等価交換の税金に対する効果について、詳しく解説していきます。
税金に対する効果とは
土地を売却すれば、所得税や住民税を支払わなければなりません。しかし、等価交換では、特例によって一定の要件を満たせば、譲渡税が将来に繰り延べられて先送りされます。しかし、これは税金が免除されるのではなく、将来、売却時に課税されるので注意してください。
「立体買換え」の特例が使える
等価交換によって課税の繰り延べができる制度は「立体買換え」の特例と呼ばれており、一定の要件を満たせば適用されます。
「立体買換え」の特例が利用できる主な要件は以下の通りです。
- 三大都市圏の既成市街地等内にある土地を譲渡
- 一定期間内にその土地に建築された地上三階以上の中高層の耐火共同住宅を取得
- 取得後1年以内に自分の居住用もしくは事業を供する
その他要件を満たした場合に適用可能で、課税の繰り延べが認められます。
等価交換はこんな方におすすめ
等価交換は、「立地条件の良い土地を所有しているものの活用できていない」、「マンションを建てて賃貸収入の利益を得たい」、「資金がなくて建物の建築費用が賄えない」、「老後のためにローンで建物を建てるのは避けたい」という人におすすめです。
等価交換は資金がなくても新築マンションを建設できます。自分たちの居住する場を確保しつつ、一部を賃貸収入として活用できるのは非常に合理的です。ディベロッパーとうまく関係が築ければ、等価交換はローン返済もなくリスクも少ない土地活用方法としておすすめできます。
等価交換を決断する前の注意点
等価交換では、良いパートナーシップを保てるディベロッパーを選ぶことが大切です。この選択を誤ると、すべての主導権をコントロールされて、良好な信頼関係を築けない可能性があります。
区分所有建物の場合は建物の価格を把握しやすく、区分所有者としての分配もしやすいですが、土地価格は鑑定評価を行っても不明瞭であることも多いです。
特に、還元床を決定する場合は慎重に検討する必要があります。還元床とは、土地所有者が建物を賃貸に使える床面積です。建物の所有比率は還元床の面積で決められます。所有権の割り当ては、土地所有者とディベロッパーの関係性で決まるので、利害関係でいざこざが起こらないようにしなければなりません。
ディベロッパーとの共同事業になる
土地所有者にとって等価交換方式は、土地の有効活用という点ではメリットが大きいですが、ディベロッパーに任せきりにすると損をしてしまう可能性も高いです。
さらに、ディベロッパーの所有部分はディベロッパーが自由に譲渡できるため、複数の権利者によって複雑化する場合もあるという点に注意しなければなりません。建物の建築計画の段階から建築後のメンテナンスの段階まで、共同事業の関係性は継続していくわけですから、お互いに良好な関係を保つよう務めることが大切です。
単独での運用も検討してから決断しよう
等価交換を考える前に、単独の運用ができないかを検討しておきましょう。そもそも等価交換の対象となるのは、ディベロッパーが建物を建てたいと思えるような立地条件の広い土地であるはずです。
わざわざディベロッパーに譲渡をしなくても、自分一人で運用できる可能性は充分に考えられます。単独の運用と等価交換を比較し、それぞれのメリット・デメリットを検討してから、どちらの方法が良いのか検討してください。また、所有権を共有するディベロッパーについても、業者の情報を得てからしっかり見極めることが大切です。
まとめ
等価交換をご検討中の方は、ぜひ株式会社青山財産ネットワークスにご相談ください。青山財産ネットワークスでは、経験や実績を元に選んだ不動産を、プロが管理・運営する共同所有システム「アドバンテージクラブ」をおすすめしています。
等価交換を行う場合、税金や書類手続きが大変という方も多いですが、アドバンテージクラブでは、建物の管理運用だけでなく、税金面や手続きも代行可能です。相続対策としても有効ですので、ぜひご検討してみてください。
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