不動産小口化商品はバブル景気の最中に販売数が急増したことから、危険性が高いものというイメージを持つ方もいます。実際は、インフレ対策や安定した収益を期待できる魅力的な商品も多くあります。この記事では、投資家の方に向けて不動産小口化商品のリスクやその軽減策を解説します。不動産小口化商品のメリットとデメリットを押さえて自分に合った投資方法かどうか検討しましょう。
危険に思われがちな不動産小口化商品 その安全性を確認
不動産小口化商品は金融商品の一種で、高い資産価値を持つ物件を共同で所有して収益を得ることを目的に購入できます。小口化により一口当たりの投資額を抑えて不動産を取得することが可能なため、手軽に始めることが出来る資産運用方法として注目を集める一方で、リスクについて危険視されることも多い商品です。ここでは、リスクがあると見られがちな点を中心に、不動産小口化商品の安全性を確認します。
「元本保証がない」と言われている
不動産小口化商品は、一般的な不動産投資と同様に元本保証がありません。社会情勢の変動により物件の稼働率や価値が変動する可能性があり、事業者の経営状況に分配金の利回りも左右されるリスクもあります。
小口化する不動産には、一般的に都心不動産などの資産価値が高い物件が選ばれます。資産を多く持つ地主や投資家の方であっても、実物不動産としてそうした物件を購入する場合は、多額の資金が必要となるためハードルが高くなります。しかし、資産価値の高い物件は売却時まで価額が安定しやすい傾向があるため、不動産小口化商品を購入することは、投資リスクが低い物件に投資するための手段の一つとなり得るでしょう。
元本の安全性が心配な場合は、事業者に当該商品のこれまでの運用実績や分配金の推移などを事前に確認することで、不安を軽減することができます。実績のある事業者であれば、比較的安心して任せられるでしょう。
「利回りが低い」と言われている
利回りの相場は、実物不動産への投資の場合は表面利回りが平均5~10%程度となるのに対し、不動産小口化商品の場合は2~7%程度と、やや低くなる傾向があります。不動産小口化商品の利回りが低い理由として、都内や都心の一等地の物件が投資対象となる点が挙げられます。
資産の価値が下がりにくい人気のエリアで安定した運用を行う、低リスクが故の低リターンというわけです。利回りとリスクに相関関係がある点では、社債や国債などの一般的な金融商品と同じと言えます。加えて、物件の管理・運用を事業者に一任するため、管理費や税金、保険料などのコストが差し引かれることも理由の一つです。
一方で、実物不動産は利回りが高い反面、自分自身で物件を管理する必要があり、退去時の原状回復費用や、空室の募集条件を都度検討するなど手間が掛かります。また、管理を業者に委託する場合も相応の費用が掛かり、管理業者とのやり取りなどに結局手間が掛かってしまいます。不動産小口化商品を購入すると、そうした手間を極力少なくできるため、より手軽に運用することが可能になります。
「複利効果を得づらい」と言われている
不動産小口化商品の利益は、基本的には再投資に回らず、分配金として支払われるため、現物不動産の家賃収入などと同様に複利効果はあまり期待できません。しかし、受け取った分配金を元本として自ら別の投資商品に再投資すれば、複利効果を得ることができ、さらに目的によって運用手段を柔軟に変更することも可能です。長期の複利運用はその他の金融商品で行い、これらの投資元本の安定的な供給源として不動産を活用するケースも見られます。
分配金の受け取り回数は一般的に年1〜2回ですが、中には年6回、年12回といった高頻度のものもあります。再投資先の商品の特性に合わせて、分配金の回数を選ぶと良いでしょう。
「中途解約できない」と言われている
不動産小口化商品の中には、中途解約ができない商品もあります。中途解約が可能な商品であっても、返金額は満期償還の場合よりも安価になるのが一般的です。また、商品によっては仲介業者を通じて次の買い手を見つけるまで解約できない場合もあります。
トラブルを避けるためにも、信頼性の高い事業者の商品を選びましょう。販売実績や顧客数の多い事業者が販売する不動産小口化商品であれば、スムーズに解約できる可能性が高くなります。事前に中途解約の可否を確認しておくことで、トラブルを避けることが可能です。
不動産小口化商品の法整備
不動産小口化商品の取引は、不動産特定共同事業法を始めとする各種法令等による厳しい規制の下、安全に行われています。特に不動産特定共同事業法は、不動産小口化商品を購入しようする人が多大な損害やそのリスクを負うような事態を防止するために、1995年に施行された比較的新しい法律です。ここでは、当該法律整備の背景と内容、また、不動産小口化商品を扱う認定を受けた事業者の数などについて解説します。
不動産小口化商品の法整備の背景
1980年代に不動産小口化商品の販売が急増しました。きっかけは、バブル景気によって不動産価格が上昇し、極端なものだと数十億円、または数百億円まで価格が高騰する物件も現れ、個人で収益不動産を購入することが難しい情勢となったことです。1人では買えない金額の物件を、複数人で共同投資をすることで購入を可能とする方法として、不動産小口化商品が登場しました。
その後、バブルがはじけて不動産価格が急落したことで、不動産投資事業者の損失が膨らみ、財務基盤の脆弱な事業者の倒産が相次いだことから、不動産小口化商品の投資家にも大きな被害が及びました。こうした事態を受け、不動産投資に関する事業者の規制及び市場の健全化による投資家保護の必要性を政府が認めたことが、不動産小口化商品に関する法整備に繋がりました。
「不動産特定共同事業法」の施行
以上のような流れを経て、不動産小口化商品等に係る市場の健全な運営を目指して、1995年4月に施行された法律が不動産特定共同事業法です。事業者が、投資家から資金を集め、その資金を用いて現物不動産を運用し、利益を投資家に分配するような事業を営むためには、主務大臣または都道府県知事から不動産特定共同事業の許可を得る必要があると定められました。
事業者の数
不動産特定共同事業法は2019年の改正で新規参入の条件が緩和されたものの、不動産特定共同事業者として法に基づき認められた事業者の数は依然として限られています。令和5年1月31日現在の事業者数は国内に234社のみで、そのうちインターネット取引可能な事業者は81社です。
不動産特定共同事業を営むための主な要件
不動産特定共同事業者として認められるための要件は数多くありますが、ここでは扱う商品の安全性にも繋がる項目を2つ紹介します。
・ 経営状況の健全性
自ら直接に不動産特定共同事業契約を締結し、不動産小口化商品を扱うためには、原則として資本金1億円以上を確保することが必要です。また、役員等が過去に不正や著しく不当な行為を行っていないことも認定基準となっています。投資家が不利益を被ることがないよう、経営の安定性が求められます。
・ 専門性の保有
専門性の高い人員を業務管理者として事務所に配置していることが必須条件です。業務管理者となるには、宅地建物取引士の登録を受けている者で、かつ、3年以上の不動産特定共同事業の実務経験を有する者、または、公認不動産コンサルティングマスター、ビル経営管理士もしくは不動産証券化協会(ARES)認定マスターの資格を有している者であることなどが求められます。不動産小口化商品は仕組みや契約内容が複雑なため、専門知識に基づいた分かりやすい説明を投資家に対して行う必要があることが理由です。
【事例で紹介】資産管理会社のメリット
不動産小口化商品の累計組成数・償還数ともに業界No.1※であり、20年以上市場全体をリードしてきた弊社の経験に基づいた「不動産小口化商品選びのポイント」を解説します。
※不動産特定共同事業法に基づく任意組合型における組成累計額シェア(2021年12月末時点)
不動産小口化商品 選択のポイント
不動産小口化商品の契約形態
不動産特定共同事業法に基づき組成された不動産小口化商品は「任意組合型」「匿名組合型」「賃貸型」の3種類に分かれており、分配金の仕組みや税制上の取り扱いが異なります。購入時に期待した通りの収益を受け取るためには、運用目的に合った契約方法を選ぶことが重要です。ここでは、3つの契約方法の違いについて解説します。
任意組合型
事業者が選んだ物件を、民法上の任意組合契約を結んだ複数の投資家で共同購入する方法です。賃料収入や売却収益は業務執行を行う事業者によって投資家に分配されます。実物の不動産を保有(共有)するのと同等の取り扱いとなるため、相続税・贈与税の評価額も実物不動産と同様の評価になることが特徴です。
匿名組合型
不動産クラウドファンディングに多い契約形態です。組合の営業者となる事業者と各投資家との間で個別に契約を結びます。不動産の所有権は事業者に帰属するため、匿名という名称のとおり登記記録には投資家の名前が載ることはありません。投資家は事業者に出資する見返りに、賃料収入や物件売却等で得た事業収益を分配されます。
賃貸型
投資家が事業者に不動産の共有持分を貸し出す方式です。任意組合型や匿名組合型と同じく、賃料収入は事業者から投資家に分配されます。ただし、対象の不動産物件数が少なく、一般の投資家が契約できる機会は限られます。
不動産小口化商品のメリット
不動産小口化商品が注目されるのは、リスクと見なされている点より多くのメリットを感じる方がいるためです。例えば、実物不動産と比較すると投資に必要な資金が1口当たりの金額で済むため、投資資金の少ない方でも参入しやすく、また、事業者に物件の選定や運用を全面的に任せられるため、初めて不動産投資を行う人にとっても取り扱いやすいと言えるでしょう。これらのメリットを1点ずつ解説します。
少額で不動産投資をはじめられる
不動産小口化商品の1口あたりの価格は、数万円〜1,000万円程度です。実物不動産よりも低価格で購入できるため、不動産投資の方法としてハードルが低いと言えます。
専門家が選んだ優良不動産に投資できる
小口商品化する物件を選ぶのは、高い専門性を持った不動産特定共同事業者です。確かな知識をもとに将来性の高い物件を選ぶため、個人で投資用の実物不動産を探すよりもリスクを軽減できます。
運営・管理の手間が少ない
不動産小口化商品では、入居者とのやり取りや共用部分の清掃といった、不動産の運営・管理業務を事業者に一任できます。利回りは実物不動産より低いものの、自身で管理を行う手間が掛からないことが強みです。
リスクを分散できる
1口単位で出資が可能であるため、複数の物件の小口化商品を購入しやすく、分散投資が可能です。投資先物件を複数に分散させることで空室などのリスクが軽減でき、また、エリアも分散させることで、自然災害などによって利回りが大幅に変動するリスクを抑えることが可能です。
不動産小口化商品の相談先
不動産小口化商品についてはWebで情報を収集することも可能ですが、初めて購入する場合には、専門家に相談しながら商品を選ぶことで、リスクの高い商品を購入してしまう事態を避けられる可能性が高まります。ここでは、不動産小口化商品購入時の相談先を紹介します。
不動産投資会社(不動産特定共同事業者)
不動産小口化商品を販売する不動産投資会社(不動産特定共同事業者)に相談することで、実際の商品やノウハウをもとに具体的な提案をしてもらえます。不動産小口化商品への投資を安心して行えるよう、相談する会社選びは慎重に行うことが重要です。
FP(フィナンシャル・プランナー)
不動産小口化商品の投資効果を知りたい場合に有効です。収入や資産、家族構成、ライフプランに基づいて、不動産小口化商品への投資が自己の状況に合っているのか、客観的に評価してもらうことが可能です。
税理士
相続時の遺産分割の手段として、不動産小口化商品の購入を検討している場合の相談先です。相続人の人数に合った購入口数を決める際などに、税法の専門知識をもとにアドバイスがもらえます。
まとめ
不動産小口化商品は、実物不動産や他の投資商品と同様にリスクを含む資産運用方法です。一方で1口あたりの価格が少額なため、実物不動産を1つ購入するのと同等の価格で、複数の優良不動産に投資することができます。元本割れのリスクを分散できたり、遺産の配分の際に活用しやすかったりと、メリットも多い商品です。投資先の1つとして検討してみてはいかがでしょうか。
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アドバンテージクラブは都心の不動産を中心に取り扱う不動産小口化商品です。アドバンテージクラブを組成・運営する青山財産ネットワークスは、任意組合型の運用実績は20年以上、業界シェアは約50%(2021年12月末時点)で共に日本1位を誇る不動産特定共同事業者です。年間3,000件以上の不動産情報を収集し、これまでに60件を超える不動産小口化商品を組成・運営してきた実績を有しています。
投資する不動産小口化商品を選ぶにあたっては、賃料収益や売却益が現実的に見込め、出口(売却時)で負けない不動産を対象としている商品を選ぶことが大切です。アドバンテージクラブが取り扱っている不動産は15億〜100億円の価格帯が中心で、都心の好立地にあるため将来の価格が大きく下落するリスクも比較的小さいといえます。このように、アドバンテージクラブは安定した収益により、投資家の皆様の資産運用のお役に立てる商品であると考えておりますので、ぜひ投資先の一つとして検討をお願いいたします。
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青山財産ネットワークスでは、税理士、司法書士など、国家資格を有する専門家が150名以上在籍し、30年以上の豊富な実績に基づき、お客様やご一族にとって最適な財産構成を実現する総合財産コンサルティングを提供しています。
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不動産への投資を検討しているなら不動産小口化商品に投資してみてはいかがでしょうか。
まずは資料が見てみたいという方は下記ボタンより、不動産小口化商品の基本情報をご覧ください。
監修者
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青山財産ネットワークス
財産コンサルタント 相澤 光
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、シニア・プライベートバンカー、公認不動産コンサルティングマスター、宅地建物取引士 |
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青山財産ネットワークス
財産コンサルタント 相澤 光 |
-1級ファイナンシャル・プランニング技能士
-シニア・プライベートバンカー
-公認不動産コンサルティングマスター
-宅地建物取引士
・経歴
不動産や信託の活用を軸とした永続型の財産承継コンサルティングを現場の最前線で行っている。節税目的の相続対策に警鐘を鳴らし、「財産全体が最適」となる承継・管理・運用を土台とするファミリーコンサルティングを幅広く手掛ける。ナレッジを集約した書籍を発行。セミナー登壇実績多数。YouTubeにて動画コンテンツも配信中。
・著書 青山財産ネットワークスの30年に渡るノウハウをまとめた『「5つの視点」で資産と想いを遺す~人生100年時代の相続対策』を執筆。2021年(11月15日-11月21日)紀伊国屋書店新宿本店 ビジネス書ランキング 第1位
※役職名、内容等は2023年10月時点のものです。
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