少額ではじめられる不動産投資として注目を集めているのが、不動産小口化商品です。
不動産小口化商品の中でも大手と称される事業者が手掛ける商品には「豊富な実績」「安定した経営基盤」「手厚いサポート」などの共通点があり、安定した収益を期待できることから数多くの人に選ばれています。
この記事では、不動産小口化商品の選定に迷う方に向けて、大手の特徴と商品選定時の着眼点について解説します。
不動産小口化商品とは
マンションやオフィス、店舗などの事業用不動産を複数人で共同所有するのが、不動産小口化商品です。
1口1万円〜1,000万円程度で購入でき、出資額に応じた賃料収入を分配金として得ます。商品によっては売却益を受け取ることも可能です。
不動産特定共同事業法に基づく小口化商品には任意組合型、匿名組合型、賃貸型の3種類あり、それぞれ契約の仕組みが異なります。
いずれも実物不動産よりも投資金額を抑えて分散投資することが可能です。そのため近年では、手軽な不動産投資方法として注目を集めています。
不動産小口化商品を扱う企業について
不動産小口化商品を販売できるのは、国土交通大臣または都道府県知事から「不動産特定共同事業者」の認定を得た事業者のみであると不動産特定共同事業法で定められています。
2019年の不動産特定共同事業法改正で新規参入の条件が緩和され、2018年には160社だった不動産特定共同事業者が2023年には234件と1.5倍近くに増加しました。
認定事業者が増えたことで商品数も年々増加しています。
しかし、法改正後に参入した認定事業者は、以前から事業を行っていた事業者に比べると運用経験が豊富だとは言えません。
ノウハウが不十分なため、計画性に欠ける商品組成を行い、購入前に期待していたよりも利回りが低くなる可能性があります。
また、償還(売却)実績が少なければ、将来的に換金・決済が滞るリスクも生じかねません。
こうした背景から、この記事では不動産小口化商品の卓越したノウハウを持つ事業者を「大手」と定義し、大手を見極める方法を解説します。
大手の不動産小口化商品が選ばれる理由
不動産小口化商品のリスクやリターンを十分に検討すると、大手の認定事業者が扱う商品が選ばれる傾向にあります。
特に中長期の資産形成や、相続に向けた取り組みとして不動産小口化商品を購入する方にとって効果的です。
ここでは、大手の不動産小口化商品を安心して購入できる理由を解説します。
豊富な販売実績
不動産小口化商品は、物件の選定と運用を全面的に販売事業者へ委ねる仕組みです。
豊富な販売実績を持つ大手であれば、積み重ねてきたノウハウをもとに中長期にわたって高い資産価値が見込める物件を選び、戦略的に運用を行います。
分配益や売却益も、期待通りの利回りを実現できる可能性が高いでしょう。
倒産リスクを下げられる
大手事業者は経営基盤が盤石なため、倒産リスクが低いと言えるでしょう。
万一、運用期間中に事業者が倒産した場合は、その後の運用や償還について新たな事業者が担うこともありますが、第1号事業者として認定された事業者は不動産小口化商品の運用収支を他の事業と切り離して管理することが義務付けられているため、安全性や透明性が高いのが特徴です。
また、認定事業者が上場会社であれば決算説明等の開示資料があるため、購入前に経営の健全性を判断することができます。
資産運用・相続時の手厚いサポート
大手事業者の中には、出資者の資産運用や相続に関するコンサルティングサービスも提供しているケースもあります。
不動産小口化商品の購入を含め、自身の財産を守るための最適な方法を考えたアドバイスがもらえるでしょう。
例えば相続を見据えたとき、財産を次世代に残すものと処分・運用するものを選別し、遺産分割方法を検討する必要があります。
その際も、不動産小口化商品を資産組み換えの選択肢の1つとして俯瞰的に捉えた、手厚いサポートを受けることも可能です。
大手の不動産小口化商品の利回りが低い理由
安定した収益を期待できる大手の不動産小口化商品は、一般的な不動産投資の水準よりも利回りが低い傾向にあります。
ここでは、金融商品の利回りについての考え方を解説した上で、大手の不動産小口化商品が利回りを抑えている3つの要因を紹介します。
利回りの考え方
投資の可否を判断するにあたり、期待できる利回りは重要です。利回りが高い方が、同額の投資金額に対して得られる収益が増えます。
では、利回りは高ければ高い方が良いのかというと必ずしもそうではありません。
不動産小口化商品の利回りは、国債や社債といった金融商品である債券の利回りと似ています。
米国債や優良企業の発行する社債は一般的に低利回りです。発展途上国やベンチャー企業が発行するものは、比較すると利回りが高い傾向にあります。
利回りはリスクと比例するため、利回りが高ければ、運用中や将来の償還時のリスクも同様に高まるでしょう。
そのため、単に高い利回りを求めるのではなく、得たい収入額などを定め、投資する資産のリスク許容度に応じて、目的を達成するための手段として実行されることを推奨します。
また、大手の認定事業者が扱う不動産小口化商品は、稼働率が高いにも関わらず利回りが低い傾向にあります。
その理由は、立地や希少性に優れているなど、不動産の価値が高い物件を小口化しているためです。
くわえて、各事業者では出資者のリスクを下げるための取り組みを行なっています。
具体的には後述の、建物の管理・修繕、優先劣後構造などが挙げられます。
建物の管理・修繕費用
不動産小口化商品では、物件の管理も事業者が代表して行います。
管理には入居者募集、入居から退去までの各種手続き、建物管理などの業務が含まれており、特に建物管理は物件の資産価値を保つために重要です。
清掃や点検を定期的に行なった上で、長期修繕計画をもとに築年数に応じたメンテナンスを実施します。
綿密な修繕計画を立てている商品は、修繕費用が高くなるため利回りが上がりづらいです。
一方で、建て替えが必要なほど物件の状態が悪くなるリスクを避ける効果があるため、長期にわたって安定した利回りを実現できます。
優先劣後構造
匿名組合型に採用されていることが多い仕組みです。
小口化商品を購入した出資者に優先して利益を分配し、残りを劣後出資者である事業者に配当します。
物件の価値が上昇した際のリターンは事業者が享受するため、利回りが上がりづらい傾向にありますが、物件の価値が下落した際は事業者が下落額を負担します。
これにより元本や分配金の安全性を高める効果があるため、低リスクで信用性が高い構造です。
出資者募集内容の着眼点
不動産小口化商品の購入に向けて出資者が募集内容を確認する際に、どんな点に注目して比較検討すると良いのでしょうか。
ここでは、不動産小口化商品が安定した収益を期待できるか判断するポイントを紹介します。
実質利回りが明確
利回りには、賃料収入による物件購入価格の回収率を表した「表面利回り」と、出資者視点で分配金の金額を表した「実質利回り」があります。
計算方法は以下の通りです。
・表面利回り=賃料収入÷税込み物件価格×100
・実質利回り=(賃料収入−管理費・固定資産税・都市計画税・保険等のランニングコスト)÷(税込み物件価格+購入時コスト)×100
出資者が実際に受け取れる分配金は、実質利回りをもとに予測できます。
大手は過去の実績をもとに実質利回りを明確に伝えることが可能なため、安心して購入できます。
物件の資産価値が高い
一般的に不動産小口化商品は収益性が見込める物件を小口化しますが、大手は過去の実績から国内でも屈指の物件価値や賃料水準を誇る物件を選んで小口化しています。
例えば東京都心3区と呼ばれる千代田区、中央区、港区などの一等地の物件や、ターミナル駅から徒歩3分以内の物件などです。
資産価値の高い物件は購入に数億円〜100億円ほど掛かるため、資本力がある会社以外は小口化が難しいと言えます。
2023年10月時点。最新情報は国土交通省ホームページをご確認ください。
まとめ
大手事業者が扱う不動産小口化商品は、豊富な実績にもとづいた運用や、手厚いサポートにより、数多くの人に選ばれています。
利回りが比較的低い理由は、出資者のリスクを抑える取り組みを行なっていることが理由です。
資産運用や相続への取り組みとして、運用期間終了まで安定した収入を期待できる大手の不動産小口化商品をご検討ください。
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分配金も約2~4%と安定した利回りを実現しており、将来にわたって高い資産価値を期待できます。
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